【短編涼話】 十物語

鬼は強烈に禍々しい笑いを残して去って行った。

今、何て?

僕の願い?

---タスケテ!

僕は猛然と走り出し家の中に駆け込んだ。

真っ暗な家の中、婆ちゃんだけが起きて僕を待っていた。

婆ちゃんにすがりつく。

体中が震えていた。

心臓の奥までが氷のように冷たかった。

僕はあの時何を思った?

---それを知ったのは、翌日。

本当の恐怖を知ったのは、奴等の死を知ってからだった。