『ここから出してやろうか?』
紅い唇が動いた。
「・・その手に乗るもんか。代わりに命とるつもりだろ。」
鬼はニィッと口の端を吊り上げた。
『たしかにそういう場合もある。だが今宵は新月じゃないからな、命の代償はいらん・・まぁ、お前の持つ魂の色は実に魅力的だがな。』
笑う鬼の声にぞっとした。
僕は無視を決め込み、鬼の存在を頭の中から閉め出そうとマットに深く潜り込んだ。
鬼は僕のそばに座り込んだ。
耳を塞いでも鮮明に聞こえる囁きは、僕の心を揺さぶり続けた。
冷えた体が徐々に思考を麻痺させていく。
僕は体の限界に抗うことができなかった。
この世には、聞いてはいけない言葉があるってこと、婆ちゃんに教えてもらってたのに。
紅い唇が動いた。
「・・その手に乗るもんか。代わりに命とるつもりだろ。」
鬼はニィッと口の端を吊り上げた。
『たしかにそういう場合もある。だが今宵は新月じゃないからな、命の代償はいらん・・まぁ、お前の持つ魂の色は実に魅力的だがな。』
笑う鬼の声にぞっとした。
僕は無視を決め込み、鬼の存在を頭の中から閉め出そうとマットに深く潜り込んだ。
鬼は僕のそばに座り込んだ。
耳を塞いでも鮮明に聞こえる囁きは、僕の心を揺さぶり続けた。
冷えた体が徐々に思考を麻痺させていく。
僕は体の限界に抗うことができなかった。
この世には、聞いてはいけない言葉があるってこと、婆ちゃんに教えてもらってたのに。


