言葉にして味方をしてくれたのは、凜が初めてだった。
だから
「あんたが悩む事なんてない。堂々としていればいいのよ」
凜の言葉が、心に響いた。
「凜」
呼び掛けると、凜は振り向いて少し微笑む。
俺はあんたが気に入ったよ。
自分だって、何かを抱えてる癖に……。
「俺、あんたの役に立ちたい」
心からそう思った。
凜の役に立ちたい。
凜を――守りたい、と。
「ありがとう」
凜は俺の正面に立ち、笑顔を見せた。
「諒は、氷上家の人よね?」
「…あぁ、そうだ」
俺が頷くと、凜は妖艶な笑みを浮かべる。
酷く綺麗で見惚れていると、凜は俺の手を取った。
「その力、会津藩の為に役立てない?」
要するに、会津藩に来ないかという事だ。
凜の、傍に。
「あぁ……勿論」
俺も笑い返すと、凜は手を離して身を翻した。


