「泣いていても何も始まらない。だから、見返してやるのよ」
強くなって、見返す。
彼女はそう言った。
僕も同じように真っ直ぐに彼女を見ると、彼女は満足そうに笑った。
「私は会津藩士の水城 凜。あんたは?」
「犬山診療所の、犬山 暁です!」
暁ね、と凜は呟く。
凜はくるりと身を翻し、歩き出した。
「来なさい。私が一月で強くしてあげる」
「はいっ!」
凜の後ろについて、僕は不思議な桜の木がある場所に来た。
その桜は一年中咲いている、町人からは恐れられている桜だ。
その桜の木の下に、誰かが座っていた。
「凜、その子は?」
「暁」
知り合いなのかと、僕は凜の背中から顔を覗かせていた。
「いや名前じゃ分かんないし……」
「い、犬山診療所の犬山 暁です!!」
この時初めて、凜以外の人とまともに話したんだ。


