僕の父様は医者だ。
小さい頃から父様を見て育ってきた僕は、医者に憧れていた。
皆を助ける、父様が誇りだった。
だけど僕は、弱虫なんだ。
「わっ!?」
お使いから帰る途中、僕は派手に転んだ。
そんな時、いつも近くに彼等がいる。
「やーい、まぁた転んではる」
「格好悪いわぁ」
今日も、また。
彼等は僕を虐める。
そんな時、この頃の僕はいつも口をへの字に歪ませて涙を流す。
わんわん泣く僕に、彼等もいつものように言い立てるんだ。
「男の癖に泣き虫やなぁ」
「ほんま弱虫や」
けらけら笑う彼等。
子供は残酷だ。
ただいつもと違ったのは、僕が走って逃げるまで笑っていた彼等が、急に笑い止んだ事だった。
「何してるのよ、あんた達」
それと同時に聞こえたのは、凜とした声。
僕は思わず泣き止み、顔を上げた。


