「ん…っ…」


目を開けると、真っ白い天井が見えた。

まだズキッと痛むお腹を抑えながらゆっくり横に視線をやると、お母さんがいて…

その目は…涙で濡れている。


「お母さん!?」



「無事…手術出来たわ。」


私から視線を逸らすように目を伏せて、言う。


「じゃあ…いないの…?
お母さんっ…
私と雅志の赤ちゃんっ…」

ゆっくりと頷くお母さん。

「私だって…やりたくなかったわ。
自分の娘の子供の中絶手術なんてっ…」


「お母さっ…」


自分のことみたいに涙を流すお母さんを見て、私も涙が溢れた。


2時間ほど泣いて、泣き疲れて眠ってしまっていたみたいだ。


もうすっかり、夜になっていた。


もう麻酔はすっかり切れていたみたいだった。


「もう。
相変わらず、俺に相談しないで一人で抱え込むんだからさ。
なんのためにTV電話してるのか分からないじゃない。院長から聞いて、すぐ飛んできたよ。」


そう言って…半開きのドアを開けて入ってきたのは…
私の大事な人でした。


「雅志っ…!?」