なぜ…パピーって呼んでるのかな?


「あ、言い忘れてた。
僕の名前は…
山中 岳(ヤマナカ タケシ)。
よろしく。
パ…和之から、君のことはいつも聞いてるよ。」


「よろしくお願いします…」

そう言ってから、私は和がパピーって呼ばれる云われを聞いてみた。


「ん~?
何で和之のあだ名がパピーか?
和って、仕草がたまに子犬みたいに可愛いから、英語で子犬を意味するパピー。…僕なんて、名前が山に関する感じばっかだから、”アルプスさん”って呼ばれてるよ。」


「いいじゃないですか。
じゃあ私も、和がそう呼んでいるなら、そう呼ばせてもらいます。」


「好きに呼んでいいよ。
もう慣れてるし。」


今まで笑顔だったアルプスさんが、
急に真剣な顔をして言う。

「悠月ちゃん。
わかってるんじゃない?
ホントは。
…何で自分の身体が重かったりダルくなったり…
食欲が急に落ちるか。」


「え…?」


「僕、こう見えてバツイチだから、
元妻の様子を見てたから分かるんだ。
今の悠月ちゃんにそっくり。
元の妻、明菜さんが、長女をお腹に宿したときとね。」


目の前が、真っ白になった。


まさか…

私が、妊娠?

和との赤ちゃん、いるの―?