悠月と僕に花束が渡された。

その後、一瞬だけ悠月に花束を預けて、
僕が祝辞を読む。
全てアドリブ。


「皆様、本日は、お忙しい中、お集まり頂き、ありがとうございます。
調子に乗ってあんな拙いピアノを披露してしまいましたが…
ウィーンでも相変わらず、あんな感じでたまに作詞作曲編曲もしたりして…自由奔放に音楽やってます。

テレビ電話やら国際電話って形でしか愛し合えないけど…
いつかちゃんと立派になって帰ってくるから、そのときは、お互いに協力して、幸せで温かい家庭を築いていこうと思います。

本日は本当に、ありがとうございます。」


会場からは、拍手があった。


披露宴を無事に終え、着替えて廊下に戻る途中に、一言、悠月が言ってきた。


「甘えて…いいんだよね?和…。」


「僕の前でのみ、ね?」


「和っ…
早く部屋戻ろ?
抱いてよっ…」


「可愛い奥さんにそこまで言われちゃ…仕方ないですね。
覚悟して下さいよ?」


そう言うなり、悠月の手を引いて、部屋のドアを開ける。


「待ってっ…和っ…
メイクだけはせめて落とさないとっ…」


「待たないですよ。
先に誘ってきたの、悠月ですよ?
それに…どうせ寝ないんですから…
関係ないですし、ね?クスッ」

そう言って迷わず、彼女をベッドに押し倒した。