彼奴が何を考えてるのなんて、

手に取るように解ってしまう


だって、

俺が作り出した種の末裔だから





*千夜視点*





「ちなみ?どうかしたか?」

「えっ?」

「手、止まってンぜ」

「ぁあ!!」


思わず溜息が漏れる。


ちなみの幼馴染みが帰り、俺たちも家の中へと入って。

幼馴染みの母親が作ったという差し入れを食べているのだが。


ちなみは心此処に在らずと言うようで、

ボロボロと握り飯を服の上に零してしまう。


それを注意するように声を掛けるが、

今現在ので既に三回目。

ちなみはその度に意識を戻し、台所へと慌てて掛けていく。

俺は其れを見るたびに、同じ分だけの溜息を漏らしていた。


ちなみがああなっている原因を知らない訳じゃない。

俺もその場に居たから。


と言うか。

ちなみをそうしている人物がああなってしまった原因は。


俺だから。



「風呂、先入ってくんなー」

「ぁ、うん・・・」

「上がってくるまでには、食っとけよ」

「・・・うん」


数回頭を撫でてやり、食べ終わった食器をシンクへ移す。

俺が出て行ったために、これから数十分間、ちなみは意識を飛ばすであろう。


「(多分、服の上には握り飯一つ分くらいの山が出来上がっているだろう)」


今日で二日目だというのに、俺の着替えは浴室に常備されていた。

脱ぎ捨てた服を洗濯機に放り込み、適当に選んだ着替えをタオルの横に置いた。


「人ってのは、ややこしくて面倒くせぇ・・・」


自分自身が作り出した生の一つだというのに、


溜息と共に漏らし、暖かな湯気で満たされている浴室へ身を委ねた。