「・・・バカ」
『ツバサくんなんかキライ』
アタシの唇はそう呟いたのに
でも
アタシの身体は正直で
その台詞を言い終わる前に
夕方、そこそこ人通りのある、駅のロータリーで
彼の、細い身体に
自分から抱きついていた。
「うん、いーよ、キライで」
ツバサくんはそう言って、なのに昨日よりも少しだけ強くアタシの身体を抱きしめると・・・
「いーよ、キライで。ボクはユキさんのこと、ずっとずっと、すきだから」
なんていう台詞を追加して、アタシの髪を優しく撫でた。
「キライよ・・・」
「うん。その方がイイ」
まるで駄々をこねる子供のように泣き出したアタシを
ツバサくんは困った顔もせずに、優しくあやす。
だからアタシはツバサくんのぬくもりで涙が止まったあとも
まだ悲しい振りをして、彼の胸から離れなかった。


