サクラドロップス


単線とはいえ、そろそろ混みだした夕方の駅のホームを早歩きして改札へと向かう。


ここまでくれば

あともう少し、5分もあればツバサくんに逢えるというのに

アタシのココロには不安が渦巻き、その5分でさえもどかしい。


普通なら携帯に電話して、声を聞くだけで安心できるのだろうけど

携帯を持たないツバサくんには、直接逢うしか安心出来る方法がない。


焦る気持ちが涙になりそうで、アタシはグッと唇を噛み締めて改札を抜ける。

あと5分

ううん、出来るだけはやく歩けば···4分でツバサくんに逢える。


と、思い、アタシは肩にかけたバッグにsuicaを落とし、持ち手を握って進行方向を見た···


すると。


「オカエリ、ユキさん。どーしたの、泣きそうな顔して」


小さな、駅の、ロータリー···

車止めの白い鉄のポールに軽く腰をかけて

綺麗な、可愛い顔で笑う···ツバサくんがいた。


「···うぅ。なんでいるのぉ···」

アタシは、またしても力が抜けて、まんまとその場にへたり込む。

「あれ?何コレ、デジャブ?」

そう言ってクスクス笑いながらもツバサくんは

ポールから腰を上げて、アタシの目の前で膝をつくと···

「公衆の面前だケド、お望みなら」

と、アタシの耳元に囁いた。