「・・・ゴメン!!気持ちは美味しくいただいた!完食した!ブリも小松菜と菊の花の酢の物もコンニャクの炒り煮も!ぜーんぶ美味しかった!!だけど、ゴメンねツバサくん!!」
南無南無と半分以上残ったお弁当を前に、アタシは給湯室で両手をすり合わせていた。
昼間エリカちゃんの話を聞いたアタシの軟弱な胃袋は、残業が始まっても動く気配はなく、かと言って半分以上残して帰るのも申し訳なく、しかしそのまま捨てるのも申し訳なく・・・
拝んだトコロで良心の痛みが消えるものではないのだけれど、実家にお仏壇があるアタシは、やましいコトがあると両手をすり合わせるクセがある。
しばらく南無南無としてから、いざお弁当の中身を捨てようとしていたら・・・
「あー!ユキさんストップ!!」
と、後ろから声をかけられて、アタシはビクリとする。
「捨てるつもりならオレに下さい!マジで。っつーか、もしかしてユキさん食欲ない?オレ肉まんなんて買って来ちゃったりしたんですケド。スープとか、あったかい飲み物だけの方が良かったですか?」
声を聞けば、誰だかなんてすぐ解るんだけど
でも
念の為に振り返ると、やっぱりそこには
安藤がいた。


