サクラドロップス


その日。

めずらしくアタシは定時に会社を後にした。

別に例の『オトコノコ』が気になる訳じゃなくて

そんなコトでは絶対になくて

最近ずっと残業続きで、ちっとも部屋でゆっくり出来る時間がなかったし

サクラのカリカリゴハンを特売してるホームセンターが七時半までだったし

明日こそ玄関で枯らしてしまったパキラをゴミステーションに持っていく準備をしなければいけなかったし・・・

まあ何かしらアタシにも早く帰る理由があった訳で。

・・・とか、何とか、誰に言い訳する訳でもないのに

アタシはブツブツと独り言を言う、少し怪しい人になりながら家路を急いでいた。

アタシの住む小さなマンションは、多少間取りは狭いものの、立地条件は最高で。

駅前のニコニコ商店街を抜けて帰れば、駅から玄関の扉まで五分と少し。