サクラドロップス


「そんなん言ってると、また10年なんてすぐだよ」

クシャ、と、アタシの髪を撫でて

「おいで、サクラ」

と、キャリーバッグからサクラを出して抱き上げると

イツキは空いた手でアタシの背中を軽く押して、桜の、木の下

10年前よりペンキが剥げて何色だか解らなくなっているベンチに、アタシのことを誘導した。

「なんであんなに急いでくるかな。足に負担かかるし」

ベンチに座らせながら、イツキ。

「だってイツキが!!」

いなかったら・・・どうしようかと・・・

イツキのコトバに、アタシの瞳は、すぐに潤む。


ねぇ、イツキがアタシには必要なの。

イツキだけ、いればイイ。

「はは。まいったなぁ。10年『待った』意味ないじゃん。もう少し他のオトコに目がいくと思ってたんだケド?ミユキってさぁ、ホント、ボクのことすきだよネ?」

アタシの顔は見ずに、サクラを撫でながら、イツキ。

アタシは・・・

「だってイツキよりすきになれるひとなんてイナイわ。イツキがイイの。イツキじゃなきゃダメなの。イツキだから寄り添える。イツキがいちばんアタシを解ってくれる」

と、言って、イツキの綺麗な横顔を見つめた。

するとイツキは、ふっと溜息をつくと・・・


「それはさぁ、当たり前だし、他のオトコで出来るヤツ探しても無理でしょ」


と、アタシを子供を宥めるような顔をして見つめたあとに・・・