サクラドロップス


焼けるような、下半身の痛みと、吐き気と

自分の身体からドクドクと脈打って流れる血液の、むせ返るような匂い

ガタガタと震えながら体温を失っていく、アタシの指。


あるんだかないんだか解らない足なのに、痛みの『感覚』だけが嫌にリアルで

短く吸うしか出来ない呼吸を繰り返し

この極限を越えた痛みが、どこかに消えてくれないかと願った。


幾重にも連なる人の波に巻かれたアタシは

まるで自分が見世物のようになったような気がして

一声、叫んだら

気が、狂ってしまうのではないかと思った。


それでも、アタシが正気でいられたのは

アタシを抱きしめるイツキの笑顔と、透明な声。


『もうすぐ、救急車がくる。ミユキは、大丈夫。生きてる。生きられる』


生きてる 生きてる アタシ は 生きてる
生きてる 生きてる イツキ も 生きてる


うん、イツキが言うなら、大丈夫。

だってイツキは、今までウソをついたことなんて、ないんだもの。




生きてる 生きてる イツキ は 生きてる。




救急車に乗せられて

救命救急士にケアをされながらも

アタシはイツキの

『ミユキ、良く頑張った。もう、大丈夫』

と、いう声に

心から安心して、瞳を閉じた-----