駅から学校へ向かうまでの、見通しの良い道路だった。
雲のほとんど見当たらない空は、そう深くはない湖面のように青く
見上げると
どこからか流れてくるサクラの花びらが淡い青に吸い込まれてしまいそうな、穏やかな春の朝・・・
『入学式までに散らないといいわよネ』
『去年は半分散ってたし』
なんて会話を、していただろうか?
ガードレールのある、歩道を歩きながら。
けれど、その数秒後・・・
今でも生々しく、記憶に、残っているのは
急に響いた、耳におぞましい、バスのブレーキ音と
止まらないクラクションと叫び声。
そして
高い位置からアタシ達を照らす、まだ灯ったままのヘッドライトの光。
異常に気付いたイツキは、並んで歩いていたアタシを庇ってくれたけれど
避け切れなかったアタシの右足は
グシャリと、霜柱がふみつけられるような感覚で
声を、上げる間もなく
バスのタイヤに、飲み込まれた----


