夏目くんはそれをすぐには受け取らず、顔を上げて結城くんをじっと見据えた。

結城くんも無言で夏目くんに出したファイルを引こうとはしない。


…え、…え?
何?

どうしちゃったの…。


二人に漂う異様な雰囲気に私は一人オロオロと戸惑う。


……やがて夏目くんがニヤリと笑うと、ファイルを受け取った。


「あれ?…柊。
もう、契約しないんじゃないの?
関係ないよね?」


「千尋…、そうしてほしいのか」


結城くんの怒気を含んだ様な低い声に私はビクリとする。