俺がキュッと抱き締めると腕の中で彼女がもぞもぞする。 「…苦しいよ」 自分から来たくせに相変わらず我が儘だ。 ふわりと腕を緩めて彼女の顔の高さに低く身体を屈め、目を合わせる。 すると、彼女の大きな瞳がそっと閉じられ、顔を前にスッとせり出してくる。 ……キスしろ、って言ってんだろうな。 「……」 俺は何もしないでそのまま杏奈の顔を見つめた。