洗顔を終えてそのまま車に飛び乗った。 「いってらっしゃいませ」 玄関先で俺を見送る使用人達に軽く手を上げて応える。 「桜井フラワーに行って」 運転手に告げる。 「かしこまりました」 車が静かに動き出してようやくホッと一息ついた。 ……夏休みに入り、ずっと杏奈と時間の許す限り過ごすつもりでいたが、なかなか会えない日が続いていた。 親父が結城コンツェルンの監査役に俺を無理矢理押し込んできたせいだ。 確かにいずれはこのままいけば継ぐ会社だ。 早いも遅いもないが、何で「今」なんだよ。