「せんっ、ぱいぃぃ……」


  周りにたくさん人がいるのに、
  そんなこと気にも留めずに
  ちか先輩に抱きつく。


「わたっ、私……!
 
 刹那がいなくなってっ、
 心に穴が開いちゃって……!

 寂しいって思ってるのに、
 みんなには冷たい態度とっちゃって……!

 けど、それでも仲良くしたくてっ、
 もう何も分かんなくなっちゃって…!」



  嗚咽を漏らしながらそう
  先輩に言葉を紡ぐと、

  優しく背中を撫でてくれて。



「大丈夫やで、葵ちゃん。

 刹那がおらんくったって、
 俺らがおるやん。

 それに、刹那はいつでも
 葵ちゃんを想ってるんやろ?

 せやったら、それでええやん。

 相思相愛、ってやつ?」



  ニカッと眩しい笑顔を
  向けてくれる先輩。

  ……先輩の手は、

  暖かくて、    大きくて、

      それでいて……



  優しいの。