「大丈夫か?桜。 あいつに何された?」 中村さんを睨みつけた後、ヒロトは心配そうに聞いてきた。 答えようと思っても、しゃべれない。 私の体がガクガクと震えるのが分かった。 やだ… お願い… たすけて… あの忌まわしい事件がよみがえった。 お兄ちゃんを失った恐怖 狂ったような声 ---犯人に強く掴まれた、私の腕 「…や…だ……」 ガタンッ 「さくらっ…!!!」 ヒロトの声を最後に、私の意識は途絶えた。