ちくちく。 胸が痛む。 これは昔からだったけど、この痛みには全く慣れない。 そのまま後ろでつったってると、 「あっ」 ピアノ椅子に座っている女の子、紫帆ちゃんがあたしに気がつき振り返って、 「奏花ちゃん、お帰り」 と言うと、花が開いたような笑顔を向けてきた。 「ただいま」 …あぁ、いやだな。 あたし今、ちっとも笑ってない。