「俺、そっち系には詳しいからさ。そういうのはだいたい知ってる」 でも…と、その人は続ける。 「さっきの歌は、聞いたことなかった。今まで、一度も」 まだ、そらさない。 真っ直ぐすぎてそらしたくなるけど、そらしたらバレそうで。 あたしの中にある、この苦しい感情が、バレそうで。 唇噛みしめて、根性で見つめ返す。 バレたくない。 初めて会ったひとなんかに。 あたしが黙っていると、気まずくなったのか、 「そんな睨まないでよ」 と、困った顔で言ってきた。