しかし俺は何も言わなかった。
何で言わなかったのかは…わからない。
真実を知るのが怖かったからなのか、もしかしたら…心のどこかで、頭の片隅で。わかっていたからなのかもしれない。
素直は…いつか元の世界に戻っていくってことが。
だから早々に諦めていたのかもしれない。
ドレスが出来上がろうと、それをいつかのように嬉しそうに見せびらかしてこようとも。俺は何も言わなかった。
プロポーズも、指輪も渡さなかった。
そんな俺に素直は業を煮やし、何かとケンカが絶えなくなった。
『結婚しないの?』そう度々聞く素直に俺は『するよ』と口では答えていたが、実際のところ『お前はしていいの?』と問いたかった。
そんな俺たちは段々とすれ違っていってしまい。
ケンカさえもしなくなってしまった…。

