「でも…あんなにゆっくりしたのは初めてで。
おかげでいろんなことを考えました。
これからのこともこれまでのことも。
特に親のことや彼とのこと。
いっぱい考えて…辿り着いたものは『どんだけ無駄な時間を送ってきたんだろ』…ってことでした」
「無駄…?」
「えぇ…。
人生は一度きりだと言うのに…。
仕事仕事で時間に追われ、〆切に追われ…。
今日まで『走り続けてきた』…って言うより、むしろ『追い立てられてきた』って感じですよ。」
そう言って笑う顔は心底そう思っているようで何だか違和感を感じた。
だってついさっき、この仕事は憧れだったから念願叶って就けて嬉しいって。何を犠牲にしてもお釣りがくるって言ってたのに…。
さっきとは真逆のことを言うヒサコさんに少し首を傾げた。

