「今までは発行部数を気にしてましたし、他社より興味を引くもの、目新しいものを探して追い求めてきました。
それが間違ってるとは言いません。
何だかんだ言ったって結局、売上ですからね。
売れて当然の、売れるためのものを用意しなくちゃ。」
同業種として言いたいことはわかる。
共感も、納得もできる。
だから『うんうん!』と俺は深く頷いた。
「でも…自分がガンになって気付かされたことがいっぱいあるんです。」
「……?」
「この仕事が好きでした。
昔から憧れてましたから念願の職に就けて何を犠牲にしてもお釣りがくるんじゃないかって思ってました。
ろくに寝れなくても、ご飯が食べれなくても。休みがなくてもデートできなくても。
恋してるヒマがなくても…仕事が楽しくて楽しくて仕方なかった。」

