彼は動揺し、一歩後退した。
そして言い淀み、逃げ帰る素ぶりを見せた。
しかし、逃がさまいと彼の腕を掴んだ親父さんはズルズルと容赦なく彼を店に引っ張り込み刑事ドラマさながらの取り調べを敢行した。
彼女のプライバシーだからと言うのを躊躇い、なかなか話してはくれなかったがおばさんの必死の頼みこみと親父さんの眼力に負けて彼の口から知らされた真実は…。
「乳…ガン?」
今しがた聞いた病名を復唱した素直の声には動揺が色濃く含まれていて。
それに何も言わずおばさんはコクン…と頷いた。
俺にもそれがどういうことかわかる。
男の俺でもわかる。
女の人だったら受け入れたくない事実だろう。
信じたくない現実だ。

