それぞれの胸に蟠り(わだかまり)を残したまま夏は過ぎ。
変わりに秋がやってこようとも、相変わらず親父さんと娘さんは冷戦が続いていた。
あれからおばさんは娘さんに電話をしてはいたが仕事が忙しいのかあまりゆっくり話すことはできなかったらしく。
それでも親子なんだから時間が経てばまた元の仲のいい2人に戻るだろうと思っていたのだが…。
だんだんと朝夕に寒さを感じはじめる頃。
思いもよらぬ客が店を訪ねてきた。
その日最後のお客さんを見送り閉店の札をかけていたところにフラ…ッと現れたその人は、かつて娘が連れてきた結婚相手として不十分な彼氏だった。
なぜ今頃、そして何の用があってここに!?
驚きを隠せぬまま突っ立っているおばさんに彼は娘さんはどこにいるのかと聞いてきた。
どこに…ってあの子の家にいるでしょうよ?と思いつつも、物騒な事件をよく耳にする昨今、そう易々教えてはダメなのかもと思いおばさんは何も答えなかった。

