「一人娘でね、もううちの人の溺愛っぷりったらないのよ?見てるこっちが恥ずかしいぐらいなんだから。」
「…………。」
あの親父が溺愛…。
つくづく、見かけによらない人だ…。
あの親父さんがね〜…と思ったのはどうやら俺だけでなく、隣に座る素直までもが『へぇ〜…』なんて声をだしてるから俺と同じく感慨深いものを感じたんだろう。
「大学を卒業して家を出てね、仕事が忙しいのかなかなかこっちには帰ってこなくて…。まぁそれでも年に何度かは帰ってきてはくれるんだけど。
好きな仕事に就けて楽しく過ごせてるなら良かったと思う反面、彼氏の一人も連れて帰ってこないと心配にもなるじゃない?
それを私がこぼすとうちの人は『それでいいんだっ!』とか言ってまともに取り合ってくれなくて…」
ヤレヤレだ…とため息をひとつ。
「まぁでも…最近じゃそう珍しいことでもないでしょう?三十路を過ぎた独身女性なんて。
そりゃね、親として娘の将来を心配するし孫の顔も見てみたいけど…まぁ娘の人生だし…って思ってたのよ、私も。

