「ううん、そうだよ。
そうじゃなかったら…。
うちのエージェントに向かってあんなこと言えないよ。」
「………。」
素直の言う“あんなこと”とは多分…。
『今は逃げたとしても、いつかまた立ち向かう日がきたら。その時は………受け入れてやってくれ』ーーーって事だろう。
「あれは効いたなぁ…。
だってあんたは私が逃げたいって分かってたんでしょう?逃げたいのが分かってて、それでもそれをあんたは肯定してくれた。
みんな何とか私を歩かせようって必死だったから。引退なんてさせてたまるかって感じで、『逃げるな!』『諦めるな!』『まだやれる!』…みんなそればっかり。
逃げたい…って言うよりはもうみんなが私を忘れて欲しかった。」
「………。」

