『ただいま』って言うのも変だし、なんだか照れる…。
だからいつものようにノックもせずに『チースッ!』って入っていった俺の目に飛び込んできたものは…。
地方に行く前にはなかった彼女の頭の包帯。
それから左頬のガーゼ。
そして左手首に巻かれた包帯に俺はつい大きな声を出してしまった。
「おま…!!どうしたんだよっ、その怪我っ!!」
突然現れた俺と、大きな声に身を竦めた彼女は今更ながらに左手をササッと布団の中に隠して『まずい…!!』みたいな顔をして目を逸らすから。
彼女の元に駆け寄り、隠した左手を布団から出してそっと手に取った。
「悪ぃ…」
大きな声を出してしまったことを詫びて。
「何があった?」とさっきよりかは小さな声で聞いた。

