「カレーってさ……」
コーヒーの香りを愉しみ、苦味を味わっていると。
同じく、バナナジュースに頬を緩ませていた彼女が不意に話だした。
「……ん?」
「カレーって、“家庭の味”って思わない?」
「カレーが?」
「うん。“おふくろの味”って聞くじゃない?肉じゃがとか、煮物のことをそういう風に言うじゃない?
でもカレーは家で作ろうとしたら大体スーパーに売ってるルーを使うでしょう?」
「うん」
「それって大体どこのメーカーも味は大して変わらないと思わない?
そりゃ果物の甘味がどうとか、ブイヨンがどうとか。数種類のスパイスが〜とか、各社力いれてるところは違えども、日本人が家庭で食べるカレーに大差はないって意味」
「まぁ確かに、出されたカレー食って『○○メーカーのカレー』とは言えねぇなぁ」

