彼女ももうそれ以上は何も言わなかった。
おばちゃんはクスクス笑いながら奥へ消えて行って。
だから残された俺達は黙々とカレーを食べた。
何とも奇妙な光景なことだろう。
でもここ数日抱えてた胸のつかえはなくなったし、やっぱりカレーは美味いし。
向かいに座る彼女はパクパクとカレーを食べてて。
そんなことがなぜか嬉しかった…−−。
−−−−…。
−−−−−…。
カチャカチャ…。
カチャカチャ…。
お互い黙って食べてるから当たり前だけどスプーンとお皿が当たる音しかしなくて。
“せっかく”…という言葉を使えば、何がせっかくなのかはわからないけど。でもこうして会えて話せて、飯まで一緒に食ってんだし何か会話を…。
でもなかなか思いつかなくて。

