「えっと…」

あたしを見て、女の子らしく首をかしげる唯香ちゃん。

向こうは、あたしのこと覚えてないのかも…

「あっ…
あの時は、ありがとう」

何か思い出したように大きく目を開いてから、ふんわり微笑む。

毒のない爽やかな笑顔に、なぜか固まるあたし。



「美月のこと知ってるの?」

「うん、この前助けてくれたんだ…」

不思議そうに聞いた萌に、恥ずかしそうに答える唯香ちゃん。



「萌の相部屋って、まさか…」

呆然とつぶやくあたしに、萌が微笑む。

「うん、桜木唯香(サクラギユイカ)ちゃん。他の中学から受験してきたんだって…」

「美月ちゃんって言うんだ。よろしくね」

「…よ、よろしく」

いったい、元カノに何をどうよろしくしたらいいんだか…

なんか頭痛くなってきた。