「あたし、こういうの苦手だわ…」

まだネクタイと格闘しながら部屋を出る愛菜。

「萌なら、得意そうじゃん。
萌にお願いしよっか?」

「…だよね」

もう自分で結ぶのは諦めて、駆け足で階段を下りる愛菜とあたし。



「ちなみに、萌って誰と相部屋だっけ?」

「あー、なんか外部から来た子らしいよ。萌と似た感じのおっとりした子」

「へー、そうなんだ」

あっけらかんと答えてくれた愛菜に、うなずくあたし。

てか、こんなのんびり話してる場合じゃない。



「急ぐよ、愛菜!」

「うん」

寮を出ると、鞄を抱えて愛菜と走る。