すごく綺麗だ…

公園全体に広がる光が綺麗すぎて、息をのむあたし。

瀬戸内は、これを見せに連れてきてくれたんだろうか。



「瀬戸内…」

「…どうした?」

少し困った顔で、目を細める瀬戸内。



「あたし…」

静かな公園で、言葉を探す。

いろんな想いが、一度に込み上げる。



「あんたが初めての彼なんだよ」

この一言じゃ、言い表せない。

言葉をのみこんで、瀬戸内を見上げる。



「わかってる」

複雑な想いを浮かべた瀬戸内の目が、優しく微笑む。

あたしは、この目を信じたい。



「うん」

瀬戸内の右手が、あたしの手を包み込む。

あたしは温もりを感じながら、静かにうなずいた。



大人から見たら、まだ幼い愛だと言われるかもしれない。

それでも、あたしは真剣だ。

初めて好きになった彼に、あたしの初めてを全部あげようと思う。



そして、大人になった時胸をはって言いたい。

『あたしの初めての彼は、瀬戸内なんだ』って…





《中等部編・完》

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