健太は、少し背中を丸めてうつむく。

あたしはカーテンをつまみ上げて、窓の外を見下ろす。

力なく歩いていく健太の後ろ姿に、また泣きそうになってしまった。



あたしはシャッとカーテンを閉めて、ベッドに寝転ぶ。

携帯を拾い上げ、アドレスNo.1を開いた。



瀬戸内貴斗

この名前を見ると、まだ胸が痛む。

だけど…

あたし、ちゃんと健太の彼女になりたい。



瀬戸内の名前を見つめて、携帯を握りしめる。

目を閉じて、あいつの顔を思い出す。

もう一度目を開けると、あたしはカタカタ携帯のボタンを押した。



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画面に表示されたメッセージを、無表情で眺める。



瀬戸内…
これで本当に終わりにするよ。

あたしは迷わず、イエスを押した。