これからは、健太と一緒に生きていく。

そう決めたのに、あたしはまだあいつのアドレスを消すことができなかった。

だけど、これから健太との思い出が増える度に、あいつのことは忘れていく。



健太となら大丈夫…

きっと、あたしは幸せになれる。

健太なら、好きになれると思った。

アドレスNo.1に、あいつの名前が残る携帯をパタンと閉じる。



今日は珍しく浴衣(ユカタ)を着て、髪をアップにしてみた。

さすがに可愛すぎる色は抵抗があって、無難そうな花柄の紺色。



健太、何て言ってくれるだろう…



鏡をのぞきこんで、小さな花のカンザシを髪にさす。

もう一度グロスを塗り直すと、あたしは携帯を巾着(キンチャク)にしまった。