全部写し終えたノートを持って、あたしは立ち上がる。

あいつは、まだ自分の席で教科書を眺めていた。



無表情に見えるクールな瞳に、まっすぐな黒髪がかかる。

あいつの横顔に、あたしはノートを抱えてうつむく。

ゆっくり天井を見上げてから、あいつの前で立ち止まった。



「瀬戸内…」

遠慮がちにかけた声に、瀬戸内は視線を上げた。