ちゃんと普通にしなきゃ…

自分の余裕のなさに、本気で情けなくなる。

あたしはビーカーを二つ手に取って、準備室から理科室に戻る。



「いいじゃん、貴斗。一緒に行こうよ」

肩が触れそうな距離で、瀬戸内をのぞき込む唯香ちゃん。

こんなとこを見て、何も感じないわけじゃない。

あたしは見て見ぬふりで、自分の席へ進む。



「もう美月ちゃんとは別れたんでしょ?」

『そんなことない』って言いたいけど、そういうことになるのかもしれない。

あたしはうつむいて、唯香ちゃんの後ろをすり抜ける。