「どうした、美月?
なんか暗いよ」

「そうかな」

理科室に向かう足が重い。

あっけらかんと話しかける愛菜に、首をかしげるあたし。



「何かあったの?
彼とケンカしたとか?」

「ケンカっていうかさ…」

今度のことは、ケンカで済むんだろうか。

唯香ちゃんをかばう瀬戸内の姿が、目に焼きついて離れない。



「…もういいんだよ」

あたしは小声でつぶやいて、スッと理科室に入った。