♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》

この感じ、なんだろう…

初めてじゃない気がする。

あたしはうつむいて、ピタッと動きを止めた。



そうだ、この感じ…

初めてじゃない。

ぼんやりと過去の映像が、あたしの頭に浮かんできた。



幼稚園の頃のあたしが、薄暗い場所で泣いている。

どうして泣いているのか、その場所がどこなのか思い出せないけど…

今と同じ、狭くて暗い場所。



しゃがみこんで泣いてるあたしの前には、幼稚園の制服を着た健太が心配そうに立っている。

健太も泣きそうな顔で、あたしの隣にしゃがみこむ。

泣き虫だった健太が、まっすぐあたしを見て何か言った。

健太にしては珍しく男らしいセリフ。



その時、健太が何を言ったのか…

肝心のセリフが思い出せない。

幼稚園のバッグを肩にかけた健太が、あたしの肩をギュッとつかむ。

あたしが、涙目で健太を見上げたその後…

健太の唇が、あたしの唇にチュッと重なる。



「…あぁっ!」

思い出した…

つーか、あり得ない。

あたしたち、まだ幼稚園児だったのに、なんちゅうことを…