俺が女神を見るがごとき、暑苦しい眼差しを向けても、芹沢女史はいつものクールビューティーでさらりと受け流し、ためらわずに発言する。

「だって平井さんでしょ。ね?それにその娘ねの話を聞いていると…なんだか分かる気がする」

芹沢女史はチラリと俺を見、確かめる様に頷いた。

「分かるって何がです?」

俺と、その他同僚は一様に身を乗り出し女史の返答を待つ。


「あら、私が言ったらつまらないでしょ。大人なんだから自分で答えを見つけないとね」


意味深な台詞と共に、清潔感漂う魅惑的な女史のウインクに、一堂がやられてしまったのは言うまでもない。

そして事がうやむやになり、安堵を覚えた一方で、期待はまるでしていなかったものの、ピノ子が俺を好きという可能性を、バッサリ切られたのは、やはりなんとなく悲しいものがある。