マイハニー

レストランを出ると、小雨が降っていた。


「傘、持ってる?」

「折り畳み、なら」

「じゃ、これ置いてこ」


と自分の傘を手に取らないお兄ちゃん。
私の傘を受け取り、差した。
私はそっとお兄ちゃんの腕を取ったけど、
お兄ちゃんはその手をそっと外し、
肩を抱き寄せて、私の耳もとで言った。


「相合傘って初めてだよな?」

「うん、そうだね・・・」

「なんか、ちょっと嬉しいかも」

「え~?変なお兄ちゃん」

「ホントは・・・この後、もう1軒別なトコ行って
 大人の余裕を見せてから、うちに連れていこうと思ったんだけど・・・
 全然ダメだな・・・俺」

「そんなことないけど・・・」

「久々に会ったらサヤ、化粧とかしてるし・・・なんか緊張するよ」

「そんな・・・私は、私だよ」


私は、私だ。
もう髪の毛を編んだりすることもなくなったし
かわいい系の洋服より大人っぽい服を選んだり
爪はいつもカラフルに彩られているけど
私は私。
お兄ちゃんが大好きな私、だ。