何度も言うようだけれど、ここは憲法第9条が愛され、施行されてる、この世の平和なパラダイス、日本!JAPAN!!


そしてさらにこの神崎家は、その中でも平凡な。ごくごく平凡な団地に家を構えた、普通のご家庭。


そんな普通の家の普通の食卓に……
誘拐だの、拷問だの、挙句の果てには情報屋とか危険なワードが飛び出すのよー!!!




ガフガフと美味しそうに御飯を食べるでんすけを見ながら、心の中でさめざめと泣いていると、さっきまでガツガツ御飯をかきこみ、バクバク目玉焼きを食べていた聖ちゃんが、口の中にいっぱい食べ物を詰めたまま


「ばーいびょうぶ!!おぶくろ、びんなでびきのびぜをばどぼーぶじようぜ!!」


こんな謎の言葉を口にする。



その瞬間、私達兄妹は「ヤバイ!」と身を固くする。



「せーいーやーーー!!アンタ、何回言ったらソレをやめるんだい!!!!」



お母さんは、食事マナーにはやたらとうるさい。だから、口の中に食べ物を入れたまま喋ったら……その後には確実に死が待っている。



「い、いっでぇーーーーっ!!!」



眉間のシワを深め、青すじをピキピキひきつらせたお母さんは、聖ちゃんの脳天めがけて思いっきりゲンコツを落とすと


「金輪際、アタシの前で食いかけの御飯を見せんじゃないよ!!!わかったね?!このクソガキめが!!」


聖ちゃんにこんな一言を吐き出して、聖ちゃんのこめかみにオマケのハイキックをお見舞い。


「ぐえっ!」


聖ちゃんは当然のことながら、椅子から崩れるように倒れ込み、しばらく体をピクピクさせたまま動かなかった。


「せ、聖ちゃんっ!!!」


慌てて私が駆け寄ると、聖ちゃんは薄れゆく意識の中で


「みゅ、ミュー。やっぱりお前、俺様のことが……っ!!」


何やらよく分からない一言を呟いて、聖ちゃんはそのままガクッと意識を失った。