クルセイド


それはこの世界転覆を目指す、テロリスト集団。



んん??
なんでここでクルセイドが出てくるの??




頭の中にハテナを浮かべながら総ちゃんの顔を見つめていると


「連中、ヴィーナスの在り処に気づき始めてる……ってことか??」


怖い顔した聖ちゃんが、総ちゃんに問いかける。




総ちゃんはしばらく考え込んだ後


「考えすぎかも知れませんけどね。夜の世界の女性は何かと秘密を抱えている方が多いですし、情報通です。真っ当な世界から手をつけるよりは、夜の世界からの方が情報も出そうですし。誘拐、拷問、いろいろするなら、そっちの方が効果的だと踏むのが妥当でしょう。」


そう言って、目の前にあった緑茶を喉に流し込む。




あ、あの……
涼しい顔して、この人恐ろしい事言ったよね。誘拐拷問って……平和なこの現代ではなかなか耳にしないフレーズですけど!!!


ひいぃー!


怯えながら二人の会話を聞いていると


「美樹。その急に消えた、っていうホステス仲間は情報屋だったりするのかい?」


コーヒー片手に新聞をめくりながら、神崎家の女豹、神崎律子がミキちゃんに声をかける。



ミキちゃんは「うーん。」と考え込んだ後


「私が見る限りは違うかな?裏の世界の情報屋はそんな若い子には務まらないでしょ。どう考えたって消えたのは普通のホステス。情報屋なんて大層な仕事はしてないと思うわ。」


そう言って食卓に置いてあったプチトマトをパクンと口に含む。




じょ、情報屋??




普通に生活してたらお目にかかることはまず無い言葉に怯えて、おののいていると


「なーんか臭うネー。」

「ちゃんと調べた方がよさそうだよね。」


レオンくんと陸ちゃんは沢庵漬けをポリポリかじりながら、かるーくこんな一言を口にする。



お母さんはみんなの会話を黙って聴きながら

「念には念を入れるべきかねぇ……。」

怖い顔してコーヒーを喉の奥に流し込む。