舜くんに「俺、ひなが好きだ」って言われた時には一瞬なにが起こったのか理解できなかったし…。




「付き合ってください」って言われた時にはもう、私の心はウキウキだったのに…。




その直後、舜くんがちょっと暴走しちゃったのは怖かったけど。




だけどっ…。




着替えるときや、お風呂に入っているときに目に入る、大量の赤い痕。




首筋から胸あたりまであるけど…。




全部、消えないでって思う。




だって、涙が出たのは、舜くんが別の人みたいで怖くて…。




あの時の舜くんを思いだしては首を振って消していると、




「ひな、トシが伝えたいことがあるって」




戻ってきた舜くんから、開きっぱなしの携帯を差し出された。




トシって……。




花火のときに一度だけ会った、あの田切さんだよね?




そんな人が、私になんの用…?




不思議に思いながらも携帯を受けとって耳に当てると、田切さんの声が聞こえてくる。




『受験、おつかれ!』




「ありがとうございます…」




結果、落ちちゃったけどね…。




舜くんは、田切さんに私の結果を言ってないのかな…?




チラッと舜くんに視線を向けると、なにやらパソコンをいじっていた。




……なんだか、言いにくいな…。




田切さんの声の調子だと、私が受かってると思ってるみたいだし…。




でも、ちゃんと報告しなきゃ。




自分に頷いて言おうと決めたとき、携帯から田切さんの愉快な声が響く




『いやー、本当に良かった!!来年度から、同じ大学だね~』




…あの、それなんですけど…。




なんて言えないよっ!!




き、気まずすぎる…。




喜んでくれてるみたいだし、余計に言いたくない…。