別にそんな急ぎじゃないし…!




ヒマじゃないんだったら別の日でも…。




「なんて顔してんだよ。普通にヒマだし」




はわはわと慌てていた私は、穂見くんにでこピンを一発お見舞いされた。




…よかった、ヒマって言ってくれて。




いきなり来たし、迷惑だったらどうしようって思ったけど…。




来てよかった。




っていうか、私どんな顔してたの!?




…いつも変な顔だけど、友達とかに言われるとちょっと傷つくよね。




まぁ、ウソはないんだけど。




「み、見なかったことにして?」




一瞬そっぽを向いてそう言ってから、




「それでね、今日は勉強のお礼になにか奢ろうかな?とか思って待ってたの」




今日の趣旨を、やっと伝えることができた。




長かったぁー…この道のり。




これ言うのに、30分くらいかかっちゃった。




「別にいいのに。律儀だな」




言えたことに感動していると、穂見くんからはそんな言葉が。




“律儀”って……“当たり前”の間違いだよ!




あれだけ勉強見てもらって、何もお礼しない方がおかしいと思う。




………だから。




「取りあえず、なに奢ってほしいか考えておいてね?」




そう言って、私は穂見くんと一緒に駅の方へ歩きだす。