その夜、俺は娘に電話をかけた。
「やきそば美味しかった!」と元気な声で話す娘。
眠る前に直に電話をかけた。
「今日、楽しかったね!!」と嬉しそうな声で話す直。
本当は
楽しいことばかりじゃなかったのに。
笑顔を保つことが辛かったはずなのに…
俺は、白いジャージに染み込んだソースのしみに触れた。
このしみと共に、
俺の心から消えることはない今日の思い出。
大事な2人の強さと優しさ。
俺のクラスの生徒の優しさ。
生徒で話し合って決めた、売上金の使い道。
全額を
海外のボランティア団体に寄付することを告げられた俺。
泣いちゃうだろ…
「直、卒業まであと少しだな…」
『うん。でもずっと先生の生徒でいたいな!』
なかなか電話が切れず、ずっと話していた。
2人で窓を開け、深い黄色に輝く月を見つめながら…
~END~

