「……そうか。俺、あんまり未良と話す機会がなかったからな」

「うん……。ごめんね……?」

「いや、謝る必要はない」

お父さんはそう、首を振る。

そして、ゆっくり自分の思いを告げはじめた。


「それより、うれしいんだ。未良に彼氏ができたって聞けて。……俺はな、未良に、もちろん咲良にも、幸せになってほしい。それだけが、俺の救いなんだ」

 ……初めて、見た。

お父さんの涙を。


「ありがとう……」

私も涙が出てきてしまった。


あんまり、お父さんと話せる時間がなくて、声さえ聞くことなんてなかった。

だから、余計にうれしかったのかも……。